ポーランドのシンフォニックと言えばCOLLAGEが有名ですが、そのギタリストMirek Gilとその周辺人脈で結成されたバンドがこれ。彼はMr.Gil名義でソロ・プロジェクトをやっていますが、こちらのほうがCOLLAGE直系に近い音かと。レーベルは現代シンフォの良品を多く輩出してきたGalileo Recordsです。COLLAGE譲りの厚みのあるやわらかいギターサウンドにグランジを加えた音です。COLLAGEの展開を早くして、豊穣な曲想はそのままにグランジの持つ鋭角的でモダンな雰囲気を加味したような感じ。伸びの良いギターはやるせない哀愁を漂わせながらアルバム全編を紡いでいきます。
メロディも良いです。哀愁を全面に出した印象的なフレーズがたくさんあります。このあたり、COLLAGEやその関連であるSATELLITEと雰囲気を共有しています・・と言えばCOLLAGEのファンの方にはわかってもらえますよね・あの感じ、です。
どの曲も良いのですが５曲目Seven Daysが旋律、雰囲気ともに優れ、バンドの音を端的に表しています。哀愁ギター、タメを効かせた展開、厚みのある音、憂いのあるボーカル。そして、曲が進むにつれ高みを増す劇的な構成。COLLAGEが見え隠れする感じがたまりません。同様の構成である７曲目Don't Tell Me、明るい６曲目Coming Downもいいです。そしてラストの８曲目Hope To See Another Dayが畳み掛けるようなサビ部分が素晴らしいです。
９０年代後半以降、グランジやオルタナを取り込んだプログレは多く出ましたが、そのタイプの中ではこれが最高の出来ではないでしょうか。東欧シンフォの悲しげな旋律と古風な音つくりを守りつつ、モダンな音を取り入れた今のシンフォニックです。