MAHAVISHNU ORCHESTRA、後に再結成DEXIE DREGSにも参加するヴァイオリニストによるニューエイジ系のソロ。リリースされたのは先の二つのグループの間に当たる時期。当時は８０年代半ばであり、テクニカル系よりもニューエイジがもてはやされた頃。リリース元は、ニューエイジ系レーベルとしてWINDHAM HILLと双璧をなしたPRIVATE MUSIC。この作品も技巧派ヴァイオリニストが、一旦技巧的な部分を控えエモーショナルな表現を前面に押し出した、いかにもニューエイジ然とした作風となっています。MAHAVISHNU ORCHESTRAで技巧派ヴァイオリン奏者の地位を確立した彼だけど、ここでそれを期待して聴くと肩透かしを食うのは間違いなし。平均的なニューエイジにとどまっている曲もあるし、肝心のヴァイオリンが目立たない曲もあります。
でも、凝ったリズムと伸びやかなヴァイオリンとの違いが緊張感を生む２曲目Tears Of Joyは、ニューエイジの形態をとってはいるがその音の向こうにMAHAVISHNU ORCHESTRAが見え隠れする裾野の広い曲です。清冽なピアノの響きもいい。また、透明で物悲しげな音色のなかにも激しさが内包されている３曲目Lullaby For Joeyも秀逸。ただし、エレクトリックドラムが多用されているのには時代を感じさせますけどね。