なぜか表記がHeart Of The Sun だったり Heart Of Sun だったりするんですが、このバンド。まあ、同名バンドがいるとかいないとか、地域によって名乗りを変えたりするとか、ま、権利上のことでしょう。でも、音楽性にはブレがありません。しっかりしたコンセプトで、しかも新しいサウンド。エレクトロを取り込んで、硬質な知的メタル。パワーメタルの要素もありますが、スタイリッシュなその佇まいに魅了されました。近いバンドはなかなか見当たりませんが、近いとしたらSPHERIC UNIVERSE EXPERIENCEでしょうか。
メンバーは元POWER SYMPHONYのギタリストGianluca Ferro、鍵盤＆プログラミングにMark Vikar。そしてイタリアプログレ・メタルの重鎮バンドTIME MACHINEのボーカルにして、あのDREAM THEATERそっくりさんの伝説バンドARKHEでフロントマンだったPino Tozziが歌っているではあーりませんか。この人、ARKHEではLaBrieそっくりの歌唱を聴かせてくれていた人です。伊プログレ・メタルのスーパー・バンドですな、こりゃ。このメンバーだったらクオリティ高いわ。
打ち込みも駆使するキーボードが異色。エレクトロの音なんですよ。シンフォニックでも、オルガン・サウンドでもない。実に新鮮。
それと、精緻なドラムも素晴らしい。まるでラウドな精密機械。バンドの硬質なイメージを作り上げています。
ボーカルは時折LaBrie風ですｗ）
まず２曲目The Last Experimentを聴いてください。変幻自在なギターはドライブ感満点。ノイジーなエレクトロ・サウンドは混沌をイメージさせます。ハードで混沌。でもそれをスタイリッシュに纏め上げる手腕が素晴らしい。地中海エスニックも取り入れたゴージャスな曲です。
３曲目Not through our eyesはエスニック色を取り入れ、チルアウトとメタルが合体したような感じです。OSIもその手のエレクトロ・サウンドですが、たとえるならばOSIは静、こちらは動です。曲想が次々と変わっていくのが面白いんですよ。ウネウネしたキーボード・ソロも個性的。
５曲目2016AD.netは、これはもう非メタルの領域にまで突っ込んでます。完璧にエレクトリックなサウンドです。ドライなCHROMA KEYって感じ。
７曲目Proxima Centauriはサイバーなメタル。冒頭はＳＦのようです。複雑な拍子と重厚なギター・・ですが、シンセは個性的にウネウネサウンドでキャッチーなフレーズを奏でます。このフレーズが印象的。歌パートは音を抑え気味にして、シリアスな雰囲気を盛り上げます。うーん、うまいですね。DREAM THETER ＋ OSIみたいなタッチです。
８曲目Solar Windは歪んだギターがグランジを、鍵盤がエレクトリックを持ち込んでいます。そこへ敢えて抑え気味の歌唱がドラマチックな光景を作り上げます。いいなあ。曲後半には音がどんどん広がっていってまるでアンビエントに。次の９曲目Sea Of Tranquilityは本格的なアンビエントになってます。この曲でアルバムはおしまい。
エレクトリックを取り入れたメタル、いいですね。OSI、SPHERIC UNIVERSE EXPERIENCEが好きな人は是非。今後この３つのバンドは要注意でしょうね。