ENCHANTのボーカリストが出したソロ第１作。歌詞はクリスチャン・ロックになっているらしく、話題のＣＰＲの一翼を担うものと言えそうです。ENCHANT当初はボーカリストとしては正直言って特筆すべきはなく、まあフツーだなと。むしろセンの細い声という印象でした。ENCHANTは歌モノが多いバンドですが、ボーカル自体にスポットライトが当たることが無かったし、特段気にせずに聴いてきました。それが今回、そのボーカリストのソロということでいったいどんな作品になるのかなと思いましたが。
だいたい、ENCHANTではPaul Craddick（ドラム、脱退）、Doug A Ott（ギタリスト）に次ぐ３番目のポジションであり、表にはあまり出てこない。Ted Lonardっていったいどういう人なんだとろうというのがずっと疑問だったのですね。で、それが今回少しだけわかったかな。どうやらソロで聞かせたかったのはサウンドメーカーとしての実力、そしてENCHANTでは活かせない多彩な歌唱力だったようです。
大部分がアコースティック・ギターと手数の多いドラム、そこにLonardの歌が載る構成です。キーボードはなし。時々エレクトリック・ギターが乗るという、シンプルながらもそれら音の配置が曲の良し悪しに直結するというごまかしがきかないもの。なるほど、その自信どおりなかなかセンスのいい音と思いました。シンプルに始まるんですが、どんどん曲がシリアスになっていくんですよ。彼が斯くうあるべきと考えるENCHANTがこの音なのかもしれません。特にそれがはっきり出てるのが１０曲目See No Evel。これ、ENCHANTのTug Of Warに収録されていたんですが、アコースティック豊かに再構成しつつも緊張感が失われていないのはさすがです。
それと旋律はどれもいいですね。キャッチーになりすぎず、聴きやすく・・ポップとしてもいいセン言ってると思います。明るい曲があるのもENCHANTとは違います。
それと歌唱力。ENCHANTって陰りのある音じゃないですか。それはそれで歌唱を聴かせる部分もあるのですが、やはり歌い方としてはある程度限定的なものになってくると思うんですね。今回はそういうENCHANT的なものを取っ払って、ソウルフルだったり、弾き語り調だったり、ワイルドだったり、まあ自由にやってるわけです。John Couger Melencampタイプの声ですね。曲によってはJoseph Williamsみたいなソウルフル＋シャウト系。
いいですね。派手では無いけど重厚感に裏打ちされた良質アコースティック・ポップです。じんわり来ますね。Steve Hogusのソロを思い出しました。