なんだかなー なタイトルだけど、これが英国モダン・シンフォの見本市のような作品です。IQ、JADISではメロディ・メーカーとして、そしてJohn Wetton Bandのツアーメンバーと、現在の英国プログレ界ではちょっとした顔役でもある彼。メロディック・シンフォとして絶妙なバランスが取れた作品になっています。アルバムの特徴を挙げるなら、まずメロディックでポップであること。シンプルな構成の曲が多くIQよりもかなりわかりやすいです。むしろJADIS、曲によってはASIAに近い感じ。そして、あの湿っぽいIQのメンバーとは思えないくらい明るい曲想。まるで空に向かって伸び上がっていくような開放感。
１曲目 The Field Of Fallen Angels
JADIS系からギターを引っ込めてキーボードを前面に押し立てたような音。明るく伸びやかな雰囲気を醸し出す透明感溢れるキーボードに、変拍子を加えたスリリングな構成はアルバム１曲目にふさわしい。
２曲目 A Part Of Me
John Wettonがヴォーカルで参加。John Wettonのソロにでも出てきそうなシンプルなポップ作品。ここでも聴きどころは長いキーボードソロ。思わず身を乗り出して聴いてしまうくらいかっこいいのだ。
３曲目 Quilmes
一転してクラシカルな旋律が美しい、ピアノソロの小品。
４曲目 The Days Of Our Lives
再びWettonがヴォーカルをとる。琴線に触れるピアノのフレーズ・・そしてサックスが印象的なＡＯＲ系バラード。こういうのWettonが歌ったら本当にハマるなあ。
５曲目 Fusion
ピアノとギターを中心にしたインスト作品。歌謡曲的とさえ言えるくらい、シンプルな構成なんだけど、Gary Chandlerの琴線ロングトーンギターが冴える。
６曲目 The Final Solution
JADISをぐっとシンプルにしたようなメロディ。伸びやかで明るい曲想。開始３分目あたりからのインスト部分がかっこいいのだ。眩暈のするようなキーボード・ソロが堪能できる。ヴォーカルもGary Chandlerかな？ ７曲目 The Picnic
アコースティック・ギターによる小品。
８曲目 The Overload JADISに８０年代のGENESISを合体させたような音。
９曲目 Tatras
ピアノとシンセで構成された物悲しいインスト作品。ちょっとクラシカル。まるで映画音楽のように壮大な雰囲気で、めるでスクリーンを眺めているような臨場感に溢れている。
１０曲目 Evensong
ラストにふさわしい曲。フルートをフィーチャリングした、こちらまサウンドトラック風のクラシカル作品。Anthony Phillipsのクラシカル系作品に近いタッチ。シンプルながら、琴線に触れるメロディがいいんだなあ。そして途中から入ってくるGary Chandlerの情感たっぷりのギターが最高。JADISやSEBASTIAN HURDIEが好きな人にはウルウルもんです。
Gary Chandlerが全面的に参加しているせいもあるけどJADISらしさがあちこちに顔を出す。よりポップで産業路線に近いような音に仕上がっているのにはちょっと驚いたが、もともとこれが彼の資質なのでしょうね。