傑作Freaks Of Natureでシーンに復帰したKANSAS。そのヴァイオリン／キーボード奏者として、９０年代のKANSASを支えたDavid Ragsdaleの現在のところ唯一のソロ・アルバムです。彼は多く曲を提供しKANSAS復活の一翼を担ったわけですが、このソロ・プロジェクトのためにKANSASを抜けてしまいました（０６年に復帰）。この初ソロ・アルバムは、ポップなフュージョンに強力なヴァイオリン・プレイが乗っかっているという感じ。ジャズロックも収録されていますが、全体的には品の良いインスト作品という趣向です。アメリカ人らしく陽性で、やや南部的な色合いが強いのがいかにもってとこですか。KANSASよりも洗練されていて、アグレッシブさはあるものの全体的にはロック色は控えめ。ハードにヴァイオリンが暴れる弾きまくりの曲があっても良かったのでは？
歌心溢れるヴァイオリンのフレーズは分かり易く、曲も覚えやすい。でも、シンフォ・ファンを唸らせる凝った構成はなし。ストレートでスピード感のあるヴァイオリンが何よりも身上というところ。まあ、彼はそういうヴァイオリン弾きだったんだよね、もともと。
より洗練された現代風DREGSという感じ。僕はボーカルレスのKANSASとも言うべきDavid & Goliathがいい出来です。
かつて彼が参加したKANSASのアルバムには、大半に彼の名前が作曲者としてクレジットされていましたが、本作では彼の作曲能力の高さが十分にアピールされています。どの曲も良いメロディを持っていて、例えるならばテレビ番組のＢＧＭに使うにはぴったり。一方、多くの曲を彼に依存していたKANSASが彼を失った痛手は大きいんじゃないかな。
自分で作曲し、アレンジし、アルバムコンセプトを練り、演奏すること・・・しかもアルバムのバランスも良いし。なんでもできちゃうのねぃ。次作ではもっとアグレッシヴな作品を作ってもらいたいな。