Christian Vander Trio

65!

コルトレーンやモラッツ／ブラフォードを髣髴とさせる求道的ジャズ作品

　おそらく３枚出ていると思われるトリオ名義の２枚目に当たる。正統派のジャズ作品でMAGMAの面影は皆無と言っていい。メロディやきちんとした構成を意識しつつも、インプロビゼーションを生かした作品。Moraz-Bruffordに共通する感じで、さらにスリリング。MAGMA色は完全に振り払われているので、プログレ系ジャズロックを期待するとがっかりかもしれないけど、ジャズも聴ける人なら問題なし。聞き込むとかなりいい感じで、怒涛のリズム隊の上を、あるときは飄々と駆け抜け、またあるときは真正面にバトルを挑むピアノがかっこいいのだ。コルトレーンの曲もカバーしていて、そう言えば、コルトレーンの作風に近いものが感じられる。硬派なジャズ・ピアノが好きな人には聴き応えは充分。

SEVENTH RECORDS SEVENTH A X ('93)