ヴォーカリストJim DorianとギタリストJim Studnickiの主導によるバンド。CYNICに在籍していたリズム隊である、技巧派ベーシストSean MaloneとドラムのSean Reinertが参加してる。CYNIC第２弾というか、装いを新たに２作目を作ったような感じかな。かつてのデスっぽさは後退し、ラフなGORDIAN KNOTという気もする。殺伐としたメロディ、ラフだけど計算された知的な演奏。なおかつ、どのトラックも魅力にあふれていて、何度でも聴きたいと思わせるものがあるのはさすが。メロディがいい。メンバーがいろんな要素を持ち寄り、それをANOMALYの方法論で解釈しなおして送り出している。プログレ、へヴィ・ロック、デス、LED ZEPPELIN・・そして、なんといっても、このギターの存在感と美しいヴォーカルに尽きる。リズム隊の二人はかなり控えめだ。
１曲目"Ensnared"は、ヘヴィなギターサウンドをバックに切々と歌うJim Dorianの歌声が印象的。DAMN THE MACHINEを思い起こさせるようなストイックなメロディもいい。
２曲目"Do You Believe?"の殺伐とした雰囲気がカッコいい。サビであるDo You Beleiveというコーラスは一度聴いたら忘れられない。
３曲目"Iconoclast"は疾走感に溢れる。爆音ギターに煽られるように曲が進む。ゆったりした曲が比較的多いので、こういう曲が入っているのは正直うれしい。
４曲目"Season"は物悲しくかつ重厚な曲想が魅力的。ここぞ、というところのコーラスがばっちり効いてる。一緒に口ずさみたくなる。
５曲目"Wolves"は一転して激しいインスト曲に。GORDIAN KNOTをラフにして早回しにしたような感じ。多重トラックを生かしたギターがいい。
６曲目"The Second Day"は生ギターとロングトーンが絡むギターシンフォ。伸びやかで明るいメロディはどこか大陸的な穏やかさを感じさせ、このバンドの度量の広さを感じさせる。歌も美しい。
７曲目"The Art Of War"は一転して、デスっぽい展開に。合間合間にGORDIAN KNOTのようなプログレッシヴな展開が垣間見られる。Maloneのベースもいい。
８曲目"Rain Song"はもちろんLED ZEPPELINの曲。Maloneがアレンジしたというストリングス隊が参加。これがいいんだ。しっとりとしたギターの音色とあいまって、これってこんな名曲だったっけ、と思わせるようなすばらしい曲に仕上がっている。６曲目の"The Second Day"のような穏やかな美しさを原曲に吹き込んでいる。これはいいわ。Dorianが歌い方まで真似ているのが微笑ましい。
ラフでシンプルな音像の間から見え隠れする、知的かつ広大な音楽性。CYNIC/Malone関連らしい独自のプログレッシヴさを貫いてます。気に入ってます。