インテリジェントなデス・・・技巧派集団が残した唯一の作品
アヴァンギャルドを好む一部のプログレファンに人気の個性派集団CYNIC。印象は＜デスメタル＋アヴァン＞というところでしょうか。かなりテクニカル。どの曲も今まで聞いたことが無いくらい変ってます。曲の途中からjazz rockになったりして。これも一つのプログレメタルの形態でしょう。
とりわけ、このバンドのギターとベースは凄い。テクニカルであり個性的。このプレイを聴いている分には凄いなあ、と思うんだけど、バンドとしての音を理解しようとすると・・・うーん・・・僕に理解するだけのバックグラウンドが無いんね（涙） ちなみにアヴァン好きな人に聴かせたら感激してましたから、要するに聴き手の資質の問題でしょう。
このバンド、既に解散しているのですが、ベーシストSean Maloneは例のMagna Carta主催のプロジェクトGORDIAN KNOTに参加していたり、ソロを始めたりして精力的に活動しています。
新たな方法論で伝説のバンドが復活！
CYNICまさかの復活。
まず、動と静の対比が見事です。リズムを控えてゆっくりしたパートの後に一気に連打のドラム構成。まるで、ゴムひもを引っ張り伸ばして手を離すような、タメの効いた展開です。
次にボーカル。メインは、普通の声に１オクターブ高い裏声を重ねたもの。これもユニゾンというのでしょうかね？ 装飾的にデス声も入れられます。重ね合わせて作られる声の質感が独特。悲しげなフレーズには実にハマるんですよ。
そして、悲しげな旋律。哀愁８＋殺伐２くらいか。前作よりも幾分メロディックになっていて、聴き易いです。
どの曲も素晴らしいのですが、聴き易い４曲目Integral Birthがベストかと。悲しげな冒頭で、私はノック・ダウンでありました。
それとテクニカルを前面に出した５曲目The Unknown Guest。ジェットコースターのような凄まじい急展開、怒涛の如きギターソロ。
堪能しました。哀愁を漂わせ、まるで荒れ狂う濁流のように、またあるときは静かな水面ありの大河の如き気品（変な例えですいません）。メンバーはみんな多忙とは思いますが、是非続けていただきたいです。３作目、また１０年後ってことは無いですよねぇ？