The Yes Albumを最後にYESを脱退した鍵盤奏者Tony Kayeは、元同僚Peter Banksがリーダーを務めるFLASHのデビューアルバムに参加。ミックスの関係で音量は小さいものの、もうひとつのThe Yes Albumとも言うべきかっこいい作品を作りましたが、その後、いよいよKaye自身がBrian Parrishと結成したのがこのBADGER。音としてはハードなＲ＆Ｂで、GRAND FUNK RAILROADが頭に浮かぶ。若干プログレ・ハード的な要素はありますが、シンフォやプログレ展開を期待するとがっかりしますので念のため。Kayeがやりたかったのはプログレではなかったのね。後のバンド遍歴や、再編後のYESでの演奏を見ても、資質的にはロックンロールの人です。
そんななかでもYESファンに面白いのは１曲目とラストの曲でしょう。１曲目は演奏時間が長く、アルバムの中でもっとも凝った演奏になっています。また、最後の曲はTony Kayeの弾くメロトロンが聞けるという点で貴重。
驚くのは、これがライヴ音源だということ。デビューでいきなりですか。確かに、オルガンの暑いインプロビゼーションや生のギター・ソロを聞かせる内容です。これ、YESの前座で出演した際の音源だそうです。プロデュースはJon Anderson。脱退後もYESとの良好な関係がうかがえます。