説明は不要でしょう。IONAのギタリストにして、音楽的リーダーであるBainbridgeのソロ作品です。彼こそがIONAであり、その貢献度がバンドの推進力になっています。IONAでのソロ・パートは透明感に溢れ、また時に伸びやか。フュージョン的でもあり個人的にはずっとソロアルバムを作ってほしいと思っておりました。IONAでのギタープレイはIONAだけに収まるものではないはず。IONAを管理することで手一杯なのか、なかなかソロを出す機会がなかったのですが、ここにようやくソロを発表。期待して聴きました。
結論から言えば半分IONAです。期待したギター曲よりも、インストあるいはIONAタイプの曲が多いです。インストはギターとシンセ、ストリングスで作り上げたオーケストレーション。例えるならば、IONAの背景で流れているような部分です。「ニューエイジ寄りのIONAサウンド」あるいは「ウィンダム・ヒルからリリースしたらIONA（ボーカル抜き）」みたいな感じ。そこへ女性ボーカルが入れば概ねIONAになるかなと。
うーん、悪くないんですが・・・期待してたギターの出番がまたしても少ないのは残念。ですんで、ここではギター曲のみ紹介します（強引）。
２曲目Over the WatersはCAMELの近作のようです。瑞々しいエレキ・ギターの音色、情感豊かなギターには歌心があるし、まるでAndrew Latimer。
７曲目The Everlasting Hills: Part 3はIONAからボーカルを取ったような曲。中盤の輝くようなギター・ソロが優美。
１０曲目Seahousesはアコースティック。幽玄という例えがぴったり。
１２曲目The Homeward Raceは胸のすくような、明るいギター・インスト。
１６曲目Star Filled Skies: Part 4はラストを締めくくるギター・サウンド。ケルトとフュージョンが合体したような感動的な曲です。
アルバムの完成度はIONAに引けを取らないほど高いです。ニューエイジとIONAの間を埋める素晴らしい作品かと。IONAのファンはもちろんマストでしょう。また、控えめなボーカルに壮大なサウンドは、ケルトやウィンダム・ヒルに癒しを求める人、あるいはエスニックもフュージョンも好きだという人には強くアピールする作風です。
でもでももっとギターソロを聞きたかったなと。次はエレクトリック・ギター限定で。あるいはフュージョン限定でやってもらえへんですかね。