英国ハードポップ。Max Baconが在籍していたことで有名なバンドの唯一のオリジナル盤がようやく再発された。彼のファンとしては待ちに待った再発。楽曲の特徴は、シンプルなメロディのハード・ポップに、ハードなギターと高音の伸びが美しいヴォーカル・・・という、まるで７０年代後半から８０年代前半のころのアメリカンＡＯＲハード全盛期のバンドのようだ。実際、そういったムーブメントに対する、英国側からの回答みたいな音になっているのが興味深い。
このアメリカにも通じるような音つくりはちょっとMUGNUM風かも。ただ、完成度とメロディの魅力という点では正直一歩も二歩も見劣りはするけど。むしろ、アメリカのマイナーなハードポップそのものと言い切れる。アメリカ志向だったのだろう。
ストレートでスピード感のある展開が身上。明るく伸びやかなメロディラインの曲が多い。ただ、メロディラインはありきたり。そこをギターとヴォーカルが絶妙にフォローしている（笑） 凝った展開は少ない。プログレ・ハード的展開も無し。うーん、さらっと聴き流せてしまうのは良いのやら悪いのやら・・・
ところが、今回、ボーナスとして収められてるライブ音源がなかなかの出来なのだ。ハードでワイルドな演奏、うねるギターが実にヘヴィ。暴れまわる二本のギター（正規のギタリストは一人だけなのでもう一人は誰かわからない）と二人のヴォーカル（ベーシストが歌っている）の濃さと熱さはどうだろう。ハードロックとしては確実にスタジオ音源を上回る力量を発揮している。地元では人気者だったと聞くがたしかにこのパフォーマンスはなかなかのもの。ライヴハウスに足を運んだ人は、彼らの演奏にアメリカン・ハードロックを重ね合わせていたのかな？
「若き日のMax Baconが聴ける」ということが最大のウリ。GTRやプログレ・ハード展開を期待すると絶対裏切られますねい。むしろ、「Max Baconは知らんけど、メロディック・ハードのマイナー作品を探索してる」って人には面白いと思う。Ｂ級ハードポップと割り切って聴けばいいんじゃないかな。
どうやら、BRONZは断続的に現在まで活動を続けていたらしい。既にMax Baconは居らず（ボーナスのライブ１曲のみ参加）、結成時よりバンドの中心者であったベーシストのPaul Webb自身がヴォーカルを取っている。彼の中音域の声に合わせ、よりヘヴィで粘性のあるものに演奏も変わっている。