突如オリジナル・メンバーで再結成したASIAの煽りを受け、残党３人でスタートしたGPS。「Geoffrey Downesは３人とのパートナーシップを解消した」というトートツなアナウンスの後、Downes−Payneで牽引してきたASIAは分裂することに。残された３人からすればDownesが脱退したようなものでしょうが。それにしても、３人の名前を取ってつけられた名前もなんか急場しのぎっぽい。しかも、キーボード奏者として参加要請したRick Wakemanには袖にされ（人選もサウンド的にも無茶だよなあ・・） ますますその完成度が不安な本作でありましたが・・しかし、これがなかなかにまとまっているのですよ。ワイルドでへヴィ、時にウェット。だけどキレがあるハードロックです。そしてソロ・パートでプログレが顔を出すわけです。
テクニカル系からアコースティックさらにはメタルまでと多彩なギタリストGuthrie Govanの存在が際立ってます。YES周辺で活動しているテクニシャンJay Shellenもいい。Downes-PayneのASIAからすればこっちが正当な後継者でしょう。
それとWakemanの代わりに参加した奥本亮がいい仕事してます。プログレ心を掻き立てるムーグ、渋いメロトロン。味わい深いです。
あ、それと昔からのASIAを知ってる皆さん。ASIAってPaynesが参加してから暑苦しいなあ、と思ってませんでしたか？ より粘着＆へヴィーになってASIA以上に暑苦しい音になってます(笑)
１曲目Window to the Soulが良い！ ＳＥを使ったスケール感と重厚なギターのリフはプログレ・メタルです。そしてインストパートこそプログレの真骨頂。ミディアム・テンポの楽曲でキーボード・ソロが映えること映えること。プログレ・ファンはノックアウトです。
２曲目New JerusalemはPaynesのASIAが好きな人には好まれる音です。PaynesのASIAそのままです。
３曲目Heaven Can WaitはASIAがブルーズやってるみたいな感じ。Govanと奥本のワイルド＆スリリングなプレイがいいですね。
６曲目The Objectorは耳に残る曲です。ギターのリフが印象的。中盤から音が走り出すところは秀逸。キーボードとギターの応酬は聴きものです。
８曲目Goldはキレのいいロック・ナンバー。Govanのフレーズはセンスいいです。
９曲目Since You've Been Goneはメロトロンが登場。
楽曲の多くを提供してしたDownesがいなくなって自由にやってる感じ。奥本亮も与えられた領域ですばらしい演奏を提供してくれている。だけどちゃんとバンドの音になってるんですよ。いままっでオーバー・プロデュース気味だったのかもしれませんね。
それにしてもWakemanのキーボードは想像つかないなあ・・まあ、参加してたら人脈的におかしなことになってましたね。YESでの先輩がDownesの後釜に入るなんてね。