Hackett兄弟によるサティのカバー集。もちろん、全編アコースティック・ギターとフルートだけによるもの。あくまでJohn Hackettのフルートがメイン。どういう経緯でこういう作品を出すことになったのかは知らないですが、個人的な関心事はピアノで演奏されることが多いサティ作品をこの二人がカバーするとどんな仕上がりになるのか、ということでした。本来、休日の昼下がりあたりがよく似合う「アンニュイ」なサティ作品。しかしです・・今回の作品ではこれが見事なまでに「夜の音楽」になってる。おもしろい！ 元来、穏やかな日差しを感じさせた優美な旋律は、フルートに置き換えられることで優しくも冷ややかな月光を連想させる音像に変貌。アコースティックギターは水面をゆっくりと走る波紋のように柔らかく、そして軽い眠りを誘う響きを与えています。
そして曲が進むにつれまるで秀逸な叙情派シンフォのように、フルートは大地を離れ夢幻の世界を舞い始めるかのよう。
それにしても、改めて聴くとサティって似た曲が多いな。まあ、こんなことどうでもいいんだろうけどさ。