７０年代末に活動していた、IQの前身とも言えるバンドTHE LENSのマテリアルを、バンドの中心であったMichel HolmesとMartin Orfordのより再録音したもの。IQのドラマーPaul Cookがゲスト参加しています。３人のシンプルなメンバーで録られた音の方もこれまたシンプル。隙間感のあるあっさりメロディックものになってます。ボーカルはわずか。インストを聴かせる作品となっています。Holmesは流れるようなギターとアコースティック・ギターを、そしてOrfordはシンセだけでなく情感豊かなフルートも奏でています。IQのメンバーのいわば別プロジェクトなのだから、きっとIQから歌を外した重厚シンフォニックになってるんだろう・・と期待してたら、これが全然違う。
印象的なフレーズはあるのですがそれが延々と続く・・・GENESIS譲りのドラマチックな構成を身上とするIQとは決定的に違います。かなり淡白な印象を受けますね。とりわけアルバム前半はかつてポンプ・ロックと揶揄されたまさにそれ。シンセでシンフォニックな雰囲気を作り上げただけ、メロディは繰り返しが多い展開。かつてのSI MUSICレーベルをさらに薄めたような感じ？ 後半はクロスオーバー風だったり、スピード感のある曲もあったりするけど、まるで８０年代バンドのデモ音源みたい。なんだか素人っぽい音で頼りないような微笑ましいような。
EDHELSを大人しくしたようなフュージョン風や、IQ前夜を思わせるキーボード・ソロも収められたりしてそれなりに面白いけど。バンドの黎明期に試行錯誤をしていた頃の記録のようなものかな。
透明感と清楚を漂わせる空間に舞うギターとシンセ・・浮遊感のある音色はそれなりに心地良い。が、シンフォファンにはどうにも「薄い」と思えてならない。私に限って言えばカンペキ肩透かし。あっさり・・そして「さっぱり」。まかり間違ってもIQがインスト大作をやっているようなものを期待してはいけません。