BON

Full Circle Coming Home

ホールズワース・タイプの極上ギター・フュージョンの傑作　洗練されたメロディがいい

　GONGZILLAの中心者であったBon Loganza（ギター）がベースのHansford Rowe、敏腕ドラマーのVic Stevensを従えたプロジェクト。テクニカルな演奏よりも曲を聴かせることを主体にした作品。Pierre Morelen's GONGやGONGZILLAからテクニカルな部分を弱めて、エモーショナルさを増したような感じ。
　まず何と言ってもメロディが美しい。洗練された都会的な曲想はかつてのジャズロックの面影は払拭されている。Allan Holdsworth系統の奏法に泣きのフレーズがふんだんに盛り込まれていて、極上のギター・フュージョン。
　どの曲も聞かせどころが用意してあって、エモーショナルな展開はそのままにテクニカルでスリリングな白熱した演奏が聴ける。具体的に曲名をあげてみようかとも思ったが、はっきり言って名曲ばかり。どれもすばらしい。何度聴いても飽きないなあ。逆に聴くほど味が出てくる・・・
　落ち着いた雰囲気のなかにもスリリングさを内包した奏法がかっこいい夜向きのフュージョン。Steve Morse、Allan Holdsworth、GONGZILLAのファンだけでなく、すべてのフュージョン・ファンに聴いてもらいたい傑作。個人的には文句なし名盤入り。
　通販サイトから入手可能ですが都内の中古店でよく見かけます。

LOLO AVL93053 ('93)

To The Bone

フュージョン・ギターの雄が放つソリッドな曲調、ウネるギター・・

　Bon Loganzaを中心とするソリッドな感触のジャズロック。GONGZILLAや後期GONGよりもモダンで、よりテンションの高い演奏。曲によってはアヴァンギャルドっぽさがたぶんに含まれていて、ウネウネとした粘着質のギタースタイルと、テンションの高いフュージョン・ギターのスタイルとが入れ替わり登場する構成。David Tornも参加。
　流れるようなしなやかさで難易度の高いフレーズを次々とキメていくRoganzaは、我々テクニカルなフュージョンを愛する者にとってAllan Holdsworthにも匹敵するギターヒーローと言える。
　ヴァイオリンとのバトルを繰り広げる１曲目Undertowはジャズロックのファンが大喜びしそうな緊張感とかっこよさ。２曲目On The Spotはミドルテンポでの淡々としたリズムと対照的に、様々なギター・スタイルが入っている。３曲目Kronosはウネウネとしたギターが延々と続くアヴァンな曲。その様相は呪術的ですらある。６曲目French Moviesはその名のとおり怒涛のドラミングが印象的なフレンチタイプのテクニカルなフュージョン。８曲目I Dance Aloneは唯一アコースティックギターをフィーチャリングしている静かな曲。静かなパッションと深み・・・冬空を描写するような厳しさと情緒を感じさせる。
　メロディに親しみを感じさせる１曲目、２曲目、６曲目が特に好き。Allan Holdsworthをはじめスリリングなフュージョンギターを好む人向け。

LOLO 009-2 ('96)