ご存知Steve Howeが在籍したサイケ・バンドのオリジナル音源に、メンバーの未ＣＤ化音源を加えたもの。長い間、YESファンのコレクター向けの作品だと思っていたが、今回聴いてみてそれが間違いだったことに気付いた。彼らは活動期間が短い、いわば幻のサイケ・バンドとしてプログレファンではなく、サイケファンに支持されてきたのであったのだ。いやー知らんかった。事実いくつかのサイトを回ったところ、彼らの作品を積極的にレビューしてるのはサイケ好きの人のところだけ。もっと面白いのは、彼らにとっては世界的なギタリストになったSteve Howeはたいした関心事ではないらしく、ヴォーカルのKeith Westやプロデュースと鍵盤を担当したMark P Wirtz、ドラムのTwinkの演奏に注目しているようだ。いやーますます知らんかった(笑) 彼らはいずれもその後サイケ作品をいくつも残しているらしい。
そして、作品自体の出来も高くなかなかの佳作だ。中期THE BEATLESのフォロワーとも思えるようなポップなメロディラインとサイケ色を備えたアルバム。テープの逆回転やRingo Starを意識したようなドラム、メロディックなベースラインなど・・まあ、一度聴けばわかりまっせ。どの曲にもTHE BEATLESな要素が満載。
１曲目My White Bicycleが素晴らしい。シングルになったのでYESのファンなら名前を聞いたことはあるんだろうけど、こりゃあ、ヒットするわいなぁ・・と思えるなかなかの曲。
３曲目 Real Life Permanent Dreamにはびっくり。後にYESでも名演のあるシタール・ギターを既にここで弾いていた！ またその奏法はまんまTHE BEATLESだったりする。
５曲目 RevolutionはTHE BEATLESが得意とした前衛とポップをくっつけたような曲。テレビ番組らしいＳＥとギターインストが交錯し、曲ががらっと変わってコーラスが入る・・・説明しても全然わからんやろうけど(笑) 印象に残るのよねえ。
８曲目 Strawbery Fields ForeverはもちろんTHE BEATLESのカバー。
９曲目 Three Jolly Little Dwarfsは初期のTHE BEATLESのような清々しいナンバー。
Steve Howeに限って言えば、シタールを弾いた以外あまり目立たない。Steve Howeらしい手癖はあるけども、もし言われなければ絶対に気づきそうもない。ただ、本編とは別に今回収録された未発表音源のNow Your Time Has Comeはどこから聴いてもSteve Howeらしい演奏になっている。
ジャケットのアートワークもいいね。味があって。