ASTRA

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classification :prog metal
area : Italy
related bands : ABSTRACTA, DAEMONIA, DGM, EMPTY TREMOR, DYNAMIC LIGHTS, ICYCORE
review :

About Me: Through Life And Beyond

ドリシアの影響下にある伊バンド群から選抜 ドリシア似スーパーバンド

 DREAM THEATERのカバー・バンドとしてスタートしただけあって、DREAM THEATERに近い音。なんでもOfficial DREAM THEATER Tribute Bandだとか? 公式トリビュート・バンドってなんやねん(笑) 音のほうはImages And WorldsのころのDREAM THEATERを軽やかにしたような感じ。プログレ・パワーのへヴィな演奏と知的な曲構成。変拍子も自在に使える。モダン・へヴィネスやフュージョンの要素も垣間見られます。
 他のバンドを経験したメンバーがいるせいか、演奏にはベテランの余裕すら感じられます。メロディが聴きやすくうまいボーカルがいることで、凝った展開ですが聞きやすいです。
 ギタリストはザクザク系もフュージョン系も弾きこなす。キーボードはプログレに造詣が深いとみた。プログレ・ファンの耳に残りそうなフレーズがたくさん出てきます。

1曲目 Shadows From The Past
 オープニングの30秒間で、多くのプログレ・メタルのファンから信頼を得られることでしょう。厚いキーボードとへヴィなギターが併走。そこへSEをうまく使いまるでドラマのようです。それでいてボーカル・パートはキャッチーなフレーズ。この、硬軟をうまく取り混ぜて纏め上げるのが実にうまい。4分30秒からAllan Holdsworthバリのギターソロが出てくるのには驚き。

2曲目 Me, Myself And I
 スピーディでダンサブルな曲。この身のこなしの軽やかなこと。この曲も知的&複雑に展開されるんですが。DREAM THEATERや他のフォロワーにはないですね。

3曲目 Human Being
 モダン・へヴィネスとキャッチーなフレーズがうまく合致。重苦しくも聴きやすい。3分40秒からのスリリングなキーボード・ソロは聴きもの。

5曲目 From father To Son
 ピアノ弾き語り風に始まり、SEが重なります。ちょっとQUEENっぽいところも。MOZARTにも近い。

6曲目 Circles、7曲目Rebirth
 ともにDREAM THEATERライクな曲。こじんまりしたドリシア系という感じですね。適度にパワメタ、適度にプログレ。

8曲目 Hear My Words
 突き抜けるように明るく明快。重厚な音との対比が鮮やかです。

 へヴィなのに耳に重くのしかからないところが好感が持てます。難易度の高い演奏もしているのですがそう感じさせない耀かさがいいですね。すでにいくつものバンドを経験しているメンバーもいるので安心して聴けます。
 名ばかりの「プログレ・パワー」ではなく、メタル、プログレ、メロディックとちゃんと3つのバランスがとれている作品です。DREAM THEATER、プログレ・ハードの好きな人にはおすすめです。

BURNING STAR RECORDS BSRCD0RECORDS('06)



From Within

重厚で劇的 亜流から脱却・・

 現存するイタリアン勢のなかでは最もDREAM THEATERに近い音を出していた前作。メリハリの効いた音で構成される鮮やかな情景、躍動感溢れる構成に大満足でした。
 さて、●●系と呼ばれるバンドにとっては正念場となる2枚目がこのアルバムです。音は変わりました。DREAM THEATER亜流から離れました。メリハリと躍動感はそのままですが、メリハリを効かせたパワー・メタルになってます。

 もちろん、凡庸なパワメタではありませんよ。めっちゃハイクオリティ&ドラマチックなのです。そして厚みのある音に。前作ではモダン・へヴィネスやフュージョン要素も垣間見られたのですが、そういうものも削ぎ落としてます。劇的に展開することだけに主眼を置いているようです。
 曲によってはQUEENを思わせる重厚さです。ボーカルもそれっぽく聞こえる瞬間があります。QUEENがパワーメタルをやったらこんな感じになるのかも。やたらとヌケのいい明るい曲調も好感が持てます。

 2曲目Promises You Madeのスピーディな展開は快感です。3曲目Memories WithinはQUEENがスピ・メロやってるみたい。
 目くるめく場面転換と柔らかな旋律との対比が見事な5曲目Save Another Dayは、もっともプログレに近づいた曲です。メリハリ、旋律、展開どれをとってもアルバムでピカイチでしょう。続く6曲目Hypocrisyも明るい旋律とメリハリを効かせ、ヌケのいいパワーメタルになってます。7曲目Road To Nowhereは複雑なリズムとサイバーな音作りが加わったプログレ・パワーです。
 8曲目Simple Mindはメリハリとヌケの良さに拘ったのか、濁りのない金属的で清澄なドラマチック・メタルです。こういうのはちょっとない音かと思います。STYXがプログレ・メタルやってるような感じ。音の質感とかコーラスとかもろSTYX風。
 9曲目The Hitmanはスピード・メタル + サイバー。不思議な質感がプログレ的。こういうのもっと聴いてみたいですね。
 10曲目Never Say Goodbyeはこれはもうどこを聞いてもQUEENですね。ボーカル、コーラス、ピアノが主導するバラード・・思わず苦笑。でもいい曲なんですよ。THE BEATLESのフレーズをうまく取り込んでます。メロトロンの使い方もTHE BEATLESっぽい。

 亜流からの脱却は成功のようです。旋律的に残るものが少ないのは減点ですが。早くも次が聴きたいです。

Lion Music ('09)