ネオクラ、パワーからシンフォまで 哀愁メロも魅力のイタリアン
イタリアのプログレ・メタル専門レーベルELEVATE RECORDS所属。ネオ・クラシカル、パワーメタルからメロディック・シンフォまで守備範囲は広い。
ギタリストはネオ・クラシカル趣味。スピード感のあるバンド演奏をバックに弾きまくってる。一方、ロングトーンの湿っぽい演奏もできる。キーボードはシンフォニックな音を好み、そこら辺はプログレ的といえばプログレかもなあ。聴いていくといろんな要素がチラチラ聞き取れて期待させるものがあります。まだまだ聴かせ方が未熟なんで、粗削りの新人との印象は拭い切れないけど成長次第ではおもしろいかも。
冒頭の3曲はスピーディなパワー・メタル。手数が多かったり凝った展開もあるが、どちらかというと一本調子。典型的なイタリアのバンドの音と言えるかな。メロディはフツーだし、テクニックとしてもフツーじゃないかな。僕のように基本的に真性メタルはちょっと・・というプログレ者にはアピールするものが少なそう。
しかし、4曲目Deep Insideはメロディック・シンフォ・タイプの曲で哀愁メロディがなかなか良いし、サックスや女性ヴォーカルを効果的に使っていてなかなか聴かせる。5曲目The Other Sideはロングトーンのギターを効かせた湿っぽいメロディック・メタル。6曲目Waiting For The Sunriseは再びパワーメタル調に戻るけど、曲中の刻み付けるようなギターソロや速弾きキーボードソロは魅力的。
ちょっと良さそうな感じの曲とイマイチな楽曲をいったりきたりするような感じでしょうか。悪くはないですが、もっとプログレってないと食指は動かないかなって感じ。
技巧派ギターのいるスピード・メタル
技巧派スピード・メタル。主に超絶ギター中心のスピード・メタルだけど、よーく聴くとそれだけではない。ギタリストはジャズ、フュージョンの素養も感じられるし、何気なく変拍子が差し挟まれている。グレゴリアン聖歌を持ち込んだりといろいろギミックも好きなようです。
本作が3作目。元ABSTRACTA、EMPTY TREMORのボーカルが参加しています。乱打するようなドラムとパワフルなギターで疾走感の強いスピード・メタルが繰り広げられます。透明感のあるキーボード・ソロや、変拍子で変化をつけてプログレッシブな雰囲気も。
ギタリストは様々なスタイルを身につけているらしく、もしソロでやるならメタルとフュージョンの中間をいくようなテクニカル系を作りそうな人材。
印象的なメロディと複雑なリズム構成が合致した3曲目Lost In Timeと、カリカリの緊張感で突っ走るプログレ度満点の9曲目Feeling Foreverがいい。特に変化に富んだ9曲目は何度聞いてもいいです。パワフルでドラマチック! AVALON盤はこの後にボーナストラックが収められてますが、9曲目で終わり、と考えたほうが断然かっこいい。聞き終えたときの爽快感がなんとも言えません。
逆にねえ・・上記以外の曲にはピンと来なかったな。僕はこの2曲だけでいや、9曲目だけでええかな。勝手なこと言ってすんません。もっとも、プログレメタル・フリークの間では実に人気の高いバンドなんで、単に嗜好の違いでしょう。僕はもうちょっと静と動のメリハリがあったほうが好きなんですが。プログレ度も低いしね。
逆に、技巧派ギターのいるスピード・メタルが大好きな人にはモロ直球なんじゃないでしょうか。
ドラマチックでスリリング プログレ・メタルのお手本のような老舗が10枚目に
10枚目だそうです。すっかりベテランですね。ASTRAをはじめ他バンドへ次々と人材を輩出して、気づいたらオリジナル・メンバーが一人もいなくなってるらしい。それもすごい話ですが、音のほうもなかなかすごい。メリハリを効かせた気ぜわしいプログレ・パワーです。これがスリリング&ドラマチック。メロディアス&変拍子でぐいぐいと展開していく様子は痛快です。プログレ・パワーはかくあるべき。ボーカルは中高音の伸びがよく、張りもありいい声。ドラムは高速&正確。ギターは高速リフがかっこいい。
スピーディでプログレッシブな1曲目Hereafter、明るくスリリングな2曲目Enhancement、目まぐるしい展開とワイルドな旋律の3曲目Not In Needが良かったです。疾走間溢れる4曲目No Looking Backと8曲目Heartache、荘厳なシンフォニック・メタルの5曲目Trapped…、ギターが大活躍の7曲目Awayと9曲目Rest In Peace・・が良かったです・・ってたいていいいんですけどさ。
テンションメッチャ高い。しばらく聞いてなかったんですが、メリハリの効いた音がかっこいい! 他の作品も捜してみます。これは楽しみ。