T Lavitz(THE DREGS)を中心にした南部風の香り強いジャズロック。ギターはDave Fiuczynski、ベースはJeff Berlin、そしてドラムスにはDennis Chambersが参加してます。一言で言えば「南部系フュージョンばかり演奏している楽しそうなDREGS」という印象であります。Lavitzが居てそれっぽい演奏してるんですから、似てて当たり前なんですけど。なんか「別のメンツで再編したDEXIE DREGS」という雰囲気すらあります。同じくスーパーバンド的なメンツを揃えたLavitz参加作品と言えばJAZZ IS DEADがありますが、本作のほうがフュージョン・ファン向きです。似てるんですけどね、ブルーズ要素が強いとか、オルガン多用してるとか。でも、立ち位置が違います。あちらはいったん南部系ロックに行ってしまってから曲を立ち上げているのに対し、こちらはミクスチャーなフュージョンです。つまり、ジャズ・ロック／ブルーズ／DREGS／即興などなどをごった煮にしている感じ。そういや、ジャケットのアートワークはまさにごちゃ混ぜにしましたよ、って言いたげですね(笑)
Lavitzはオルガンを多用しDREGS以上に南部っぽいフィーリングです。Dave Fiuczynskiはブルーズ心溢れるギターをやっています。今回はリードの多くを主役のLavitzに譲っています。面白いのはJeff Beckっぽいフレーズが出てくること。ニクい演出ですね。私は気づきませんでしたがジミ・ヘン風フレーズも出てくるそうで、知ってる人は思わずニヤリってとこでしょうか。
Jeff Berlinもしっかりブルーズやってくれてます。うまく言い表せませんが、彼の流儀だとブルースもこうなるんかあと唸ってしまいます。Dennis Chambersだけはいつもと一緒ですね。ハイ・テクニックな高速ドラマーです。
どの曲も上記の混合で似たような感じ。３曲目Around About Wayがこのグループの個性が判りやすく出ていて、メロディも印象的なんで好きですね。とっつきやすいし。４曲目I Hate The Blues...(But Here's One Anyway)はタイトルに笑ってしまいますが、曲のフォーマットはまったくのブルーズ。そこへフュージョンの名手たちが彼ららしいフレーズやリズムを押し込めているのが面白い。「ブルーズが嫌いだからジャズっぽくやってみました」ってことなんですかね。とりわけこの曲ではほとんどのリードをとるJeff Berlinのベースが聴きものです。６曲目Emotional SqualorはLavitsの独壇場。オルガン中心に重ねたキーボードがかっこよく、渋い！ ひとりでやってるDEXIE DREGSみたいな感じ。
DEXIE DREGSが好きなひとには文句なしにおすすめ。JAZZ IS DEADがあまりにフュージョンから離れててがっかりというLavitzファンには、こちらで溜飲を下げていただけるはずです。