孤高のボーカリストFergie Frederiksen(TRILLION, TOTO)と、ベーシストであり優れたコンポーザーであるRicky Phillips(THE BABYS, BAD ENGLISH)が組んだアルバムです。とりわけ、アルバムIsolationで前任Bobby Kimballの後をうけTOTOに参加しハイトーン・ボーカルを披露、しかしたった１枚で脱退したPhillipsにとっては、久しぶりの作品です。それまでなにやってたんでしょうかね。
骨太ハード・ロックからバラードまで、ウェットでワイルドなナンバーが並びます。メロディック・ハードというより、すこしブルージィなほうへ足場を置いてます。J.Geils Bandに近い曲が多いですね。そのため、BAD ENGLSIHやTOTOの路線とは隔たりがあります。壮大な産業ロックもいいけれど、アメリカンに根ざしたワイルドな曲調もいいですね。
１曲目 Shot Down
ミドル・テンポのポップ。タメの効いた歌唱、ウェット＆ワイルドな曲調。オルガンの渋い音色と、ブラスのゴージャスな響き・・・うーん、アメリカンです。ギター・ソロがまた渋い。
２曲目 Oh Diane
音の緩急を生かした曲。粘っこく始まりますが、サビに近づくと軽やかに。ん？ 声が荒れてるように感じますね。
３曲目 How Much Longer
ここに来て高音域を使う曲に。待ってました。ワイルドなロックンロールですが、タテノリのリズムで歯切れ良い曲調。サビ部分は古き良き８０年代メロディック・ロックですなあ。そして、サビのボーカルこそFrederiksenの真骨頂です。
４曲目 Name Of Love
ちょっと変わったタッチの曲ですね。基本ワイルドなロックンロールですが、声をイコライジングしたり、コーラスをソリッドに仕上げたり。ドラムのパターンも変わってます。
５曲目 You Must Be A Liar ('Cause You're Unbelieveable)
これも好きだなあ。アップテンポでたたみ掛けます。懐かしい曲調と緊張感が合体した変わった味わい。
６曲目 Baby Blue
全編高い声で通すロックンロールです。往年の声に近づいてますね。カリカリのオルガン、かっこいいギター・ソロ。しびれました。Phillipsのプロデューサーとしての力量はかなりのものですね。
７曲目 Captured
手の込んだ壮大な曲。STYXのプログレ・ハード路線を彷彿とさせます。重いドラム、STYXにも出てきそうな存在感あるオルガン。曲展開もドラマチックです。長い長いインスト・パートはTrevor Rabin在籍時のYESにも似てます。
９曲目 Hopelessly Lost
ハイトーンを生かしたメロディック・ハード。粘着質でちょっとクサい旋律も、彼の声なら許せます。
１１曲目 Long Way Around The World
ラストはゴージャスですよ。J.Geiles Bandを歯切れよくしたような演奏、そこへシャウトしたハイトーンが響き渡ります。
曲はワイルドだし、歌唱は中音域が主体で派手さには欠けますが、アメリカのロックの王道を行く感じで、これはこれでいい作品だと思います。この作品が半リタイア状態だったFrederiksenの本格的復帰につながるわけです。