Tommy Denander関連作品。北欧メロディック・ハードの御大である彼が、元TOTOのボーカリストFergie Frederiksenと組みました。TOTOに非常に近いセンで作品を残しているDenanderですが、TOTOが最もメロディック・ハードに近づいたアルバムISOLATIONでボーカルを担当したFrederiksenとともにレコーディングをする日が来るとは。両方のファンとしては、感慨深いものがあります。余談になりますが、FrederiksenはTRILLIONの初代ボーカルですが、２代目ボーカルであるThom GriffinともDenanderはアルバムAmbitionを作ってます。こちらの出来にはかなり満足したのですが。作風について言えばいつものDenander作品です。ＡＯＲ的な部分に目配りをしつつ、ギター中心に高品位なメロディック・ハード。Frederiksenは若干声が衰えたか？ さすがにIsoationの頃のような超絶歌唱はありませんが、多少かすれて落ち着いた声というところか。さすがに若さは感じませんが高音域はしっかり出ています。良く言えば老獪ってとこ。とにかく安心して聞けますのでご心配なく。
ただ今回は旋律的にフックが少ないような。強烈に耳に残るフレーズは、傑作REDIOACTIVEプロジェクトほどにはありません。それとちょっとマイルドな感じ。個人的には変拍子バリバリのIsoationタイプを期待していたのですけど。
Denanderとしては"並"レベルの楽曲が多いように思うのですが、そんななかでも４曲目Crossing Overが良いですね。意外にこの曲がJOURNEYタイプだったりします、Frontiers期の。そういや、Frederiksenの声はSteve Perryに似てるわけで。Isolation期のTOTOはJOURNEYを意識していましたしね。
続く５曲目Written In Stoneもいいですよ。哀愁と爽やかさが入り混じる旋律、厚いコーラス。この曲もどことなくJOURNEYタイプだなあ。
６曲目My Saving Graceはハードなナンバー。
９曲目Never Try to Love Againはキャッチーなフレーズがあるハード・ポップ。いいですね、こういうのを待ってました。TOTOのCarmenタイプの曲です。ギターのパートもいいです。
１１曲目Keep A Light Onは、おお、これこそIsolationに収録されてそうな曲ではありませんか。Isolation収録のMr.FriendlyかCarmenかと。冒頭のシンセ・パートも印象的ですし、ギター・ワークは秀逸です。
楽曲も歌唱もまあまあ。緊張感という点では若干の不満が残ります。全体的にマイルドな感じなんですよね。キレるようなテンションの曲があと２曲あればなあ。Fergieは素晴らしい歌い手さんですが、やはり彼のファンはIsolationのセンを聴きたいと思うんだよなあ。