北欧をベースに、RADIOACTIVEなどメロディック・ハードのファンを狂喜させるような作品を次々と発表しているギタリストTommy Denander(RADIOACTIVE, PRISONER, RAINMAKER)。次の作品はなんと元TRILLIONのボーカリストThom Griffinとのプロジェクト。TRILLIONと言えば２枚の作品を残し、後にTOTOに加入するFergie Frederiksenを初代ボーカルに擁したバンド。数年前に話題になったMECCAの中心人物であったJoe VanaもTRILLIONのメンバーでした。
GriffinはFrederiksenの後任なのですが、TRILLIONでの音源を聞き比べる限りは、輝かしい活動を残したFrederiksen同様すばらしい歌唱力です。今回、表舞台に登場するのは久しぶりのはずなんですが声はまったく衰えてません。その声質を説明するならば、FOREIGNERのLou GrammとPoul Rodgersを合わせてちょっと冷ましたような声の持ち主です（変な例え）。曲によってはYESのTrevor Rabinにも似てます。
そして、ゲストにJean Michel Byronの名が！ 知ってますか？ TOTOの４代目ボーカリストです。いい声の持ち主だっただけに活動期間が短かったのが残念ですが、こうしてまためぐり合えるとは感激です。
で、このアルバムですが結論から言えば実にすばらしい！ Denanderが関連する作品のなかでもトップクラスかと。フックの利いた旋律、情感豊かなボーカル、ハードなギター。メロディック・ハード、産業ロックが好きと言う人には間違いなくおすすめ。RADIOACTIVEやMECCAでむせび泣いた人は諸手をあげて大歓迎の作品のはずです。
１曲目 Hold On
アルバム最初のこの曲を聴くだけで、このプロジェクトの良さが実感できるはずです。冒頭のギターでメロディック・ハードのファンはノックアウトかも。そしてPaul RodgersとLou Grammの間を行くような歌唱が。曲の雰囲気もFOREIGNERやSAVIVORのファンが喜びそうな曲です。厚みのある演奏がいいですね。
２曲目 Hypocrites
Jean Michel Byronとのツインボーカル。冒頭のジェントリーな雰囲気からは想像できないくらい、ツイン・ボーカルのパートでは盛り上がりますよ。
３曲目 Alone I Cry
バラード。歌い上げるような歌唱が感動的です。展開がありきたりになりがちなんで、リズムをハウスぽくするなど工夫してます。
４曲目 Shaping Fate and Destiny
FOREIGNERタイプ。歯切れよく、緊張感のあるメロディ。サビのコーラスがかっこいいです。ボーカルはすごくがんばってますよ。後半に配置された、ギター〜シンセと続くインストもいいです。
５曲目 All I Need
これもええなあ（ため息）・・ドラマチックなメロディック・ハードです。プログレ・ハードとも言えそう。音とコーラスが厚く、まるでQUEENのよう。歌声がPaul Rodgers風なのでますますQUEENに思えます(笑)
６曲目 Make It Alright
メロディック・ハードの王道的な曲。TRILLIONへの原点回帰的な曲と言えばいいでしょうか。シンプルで明るいメロディライン。７０年代の古き良きメロディック・ハードが蘇ります。あ、そうそう、SHOOTING STAR風とも言えそう。
８曲目 Together
この曲も６曲目同様、７０年代の古き良きメロディック・ハードを回顧するような曲。シンプル＆明るいメロディック。明らかに産業ロック時代よりも昔の音。
９曲目 Too Much
タテノリ・リズムで８０年代風の音に。高いパートをしなやかに歌うJean Michel Byronに痺れました。キャッチーなフレーズ、耳に残るサビ、一転してワイルドに責めるギター・パート・・・・いいですねえ。アルバムのハイライトのひとつです。泣いてください。
１２曲目 Waiting In My Dreams
ゆったりとしたうねりを持つ不思議な曲です。ドラマチックで厚みのある音は、Trevor Rabin在籍時のYESを連想させるパワー・ポップです。混沌さすら飲み込むような重厚な演奏の厚みに、Griffinのボーカルが一筋の光のように輝きます。
繰り返しますが、メロディック・ハードのファンには超おすすめです。プロデューサーのFarbrizio Grossiには是非、次作も作っていただきたいものです。