８０年代後半、Kevin ChalfantがJOURNEYを脱退したばかりのRoss Valoryと結成。後に成功を収めたTHE STORMの、言わば前身バンドにあたります。アルバムを出すべくレコーディングをしていたのですが、契約が決まらぬままバンドがTHE STORMへと発展していったため、そのままオクラ入りしていたようです。ChalfantのTWO FIRESが評価されたり、本家JOURNEYが新作を出すといった話題のなか、この幻の作品もリリースされたわけです。肝心の音のほうですが、これまで陽の目を見なかったのが惜しいくらい完成度は高いです。THE STORMに近い高品位メロディック・ハード作品。
Chalfantの歌唱はシャウト気味。明るく歯切れが良いのが印象的。ハードでメロディアスなギター、メロディックなフレーズが印象的なベース、重厚なコーラス、ＡＯＲハード然としたメロディ。どの曲にもフックがあって印象に残る旋律です。そしてメリハリの効いた曲構成。８０年代のメロディック・ハードを好む人に受け入れられる作品でしょう。
個人的には、絵に描いたように鮮やかなメロディック・ハード作品６曲目Walk Through The Fireが好きです。少しプログレ・ハード寄りでASIAに通じるダイナミックさが魅力です。また、９曲目Somewhere Hereも素晴らしい。フックの効いたメロディが耳に残ります。演奏も凝っていて、プログレ・ハード仕立てになってます。ＡＯＲ／メロディックが好きな人はこの２曲のためにも是非買っていただきたい。他にも、いかにもアメリカのメロディック・バンドらしいバラード１０曲目So Long、重厚コーラスが印象的な２曲目Key To The Cityなど収録曲のクオリティは高い。なんで今までリリースされなかったのか首を傾げたくなるほどの出来です。
THE STORM、TWO FIRES、JOURNEYのファンはもちろん、すべてのＡＯＲハード、メロディック、産業ロックファンに聴いて貰いたい作品です。